SNSを通じて、とっても面白いビデオを教えていただきました!
三重県の高田高校放送部が作成した、「宿題」を通して見えたもの という映像作品です。
こちらは、今年のNHK杯全国高校放送コンテストで決勝に進出した作品の一つでもあり、NHKのサイトで作品が公開されています。
まずは、上記画像をクリックして、作品を御覧ください。(約8分の作品です)
作品が見れない方のために、簡単に解説を。
冒頭、いきなり、宿題や定期テストを廃止したことで有名な麹町中学の工藤勇一校長が、「宿題って、何の役にも立たないよ」と言い切るところからスタートします。
また、働き方改革の先頭に立つ株式会社サイボウズの青野社長がこう続けます。
「宿題出されたら、やらないような人が魅力的に見えるね」
この衝撃的なインタビューから始まるこの作品、高校生の生徒たちが、宿題は本当に必要なのか、必要と言っている先生、不要と言ってる先生はどういう意図で言っているのか、また社会に出たときに宿題は役に立つのかを、自らの足で生徒や先生、東京の工藤校長や、青野社長などにインタビューを行ってまとめているところが本当にすごいと思います。
作品の前半では、宿題が必要だという先生の意見が取り上げられています。
英語科の先生がいう、練習量の確保というのが、一番の理由でしょうね。
授業中は、説明が中心になってしまうので、家でわかるまで練習してほしいので宿題をだしているのだと。
數學の先生のように、「成績をつけるため」って言っちゃうのはいかがなものかなと思いますが・・・
一方で、生徒たちは、時間がないから宿題をやれない、だから、答えを写してでも提出するという生徒が全体の2/3にあたる66%もいました。
結局、やってほしいと思っている先生の思いは伝わっておらず、成績が付くから仕方なく、答えを写してでも出しているという状況になっているのがよくわかります。
そこで、生徒は、こちらの本、「学校の「当たり前」をやめた」の著者で、現在も麹町中学の校長として学校改革を継続中の工藤校長へインタビューを行います。
表紙のキャッチにあるとおり、工藤校長は、「宿題は必要ない」という考え方のもと、定期テストや担任制など、これまでの学校の「当たり前」をどんどん廃止しています。
そんな工藤校長が生徒に語った印象的な言葉がこちら。
わからないのをわかるようにすることで成績が上がるんでしょ。でもわからないことは、みんな違うし。
でも、宿題を出されちゃうと、自分に必要のないものまで勉強しなきゃいけない
宿題って何の役にも立たないよ。自立して自分で考えて自分で行動できる人間だったら宿題いらないでしょ?いつも宿題求めてたら、それがなかったら成長しないっていう大人になったらどうする?
今の子供達は、ひとつの会社に就職して定年退職までって時代じゃないので、我慢し続ければ良いことあるからなんて時代じゃない。やっぱりもっと一番大事な、自分で考えて、自分で判断して、自分で決定して、自分で行動する、自分の力が本当に必要な時代になった。
時代が変わったので、学校も変わらないといけない。
そして、もうひとり、働き方改革の先頭を走る株式会社 サイボウズの青野社長へのインタビューです。
宿題出されたら、やらない人が魅力的に見える。
なんでやらないといけないんですかって言い返すくらいの人がいい
言われたことを我慢してするっていうスキルはどんどん不要になっていく。
AIやロボットがやってくれるから。
これから求められる人間っていうのは、我慢する能力より、我慢をしない能力、もっと自分を出す能力。こっちのほうが大事になってくる
とはいえ、全校生徒に取ったアンケートでは、「もし先生が一切宿題を出さなくなったらどう感じますか?」という問いに、37%が嬉しいと答える反面、同じく37%の生徒が、「どう勉強していいか分からなくなるから困る」って答えているんですよね。
そう、この部分が工藤校長が心配している、宿題が自立の妨げになっているという証拠だと思います。
宿題は嫌だと言いつつ、宿題があることで、どこを、どれくらい勉強すればいいか、考えなくても済んでいるのも事実です。
そうやって、自分の勉強のことなのに、自分で考えないから、工藤校長は、「宿題は何の役にも立たない」と切り捨ててしまっているのだと思います。
高校生自身が、宿題とはなにか、なぜ必要で、なぜ必要でないと言い切れるのか、これからの社会に必要な能力とは何かを、作品の中で示してくれています。
私自身の考えは、「全員に共通な」宿題は不要という考えです。
生徒一人ひとりが抱えている課題は違いますし、理解度、興味、能力も違います。
なので、宿題ではなく、生徒自らが、自分の成績を上げるために何をすべきかを考えることが大切だと思います。
ただ、それは、とても難しいことなので、その手助けとして、普段宿題とされている学校のワークや先生の手作りプリントなどを、理解するためのツールや、練習道具として割り切って上手に使ってねと。
そして、やらない子にマイナスの評価をするのではなく、上手に使いこなしている子、できなかった事ができるようなった子は、プラスの加点をするという方式で、どんどん自分で進めることを推奨していければよいのではないでしょうか。
実際、セルモでも、この方式で、全員に一律の宿題を与えることはしていません。
ただ、生徒がもっと家でもやりたいからプリントが欲しいといえば、プリントを作って出してあげますし、問題をもっと解きたいと言えば、塾にある問題集を貸してあげたりもします。
生徒が、もっと関数ができるようになりたいと言えば、関数の関してのわかりやすい問題集を上げたりもしています。
もらった生徒も、まるでマンガでももらったように「もらえるの? やった! 頑張って問題解いて見るね!」と大喜びしてくれます。
同じ問題集を渡すにしても、「これ宿題だからできるようにしておきなさい!」と命令形で渡したら、多分、こんなには喜ばないと思いますが・・・
演習量を確保する意味での宿題(課題)は必要だと思いますが、それを命令されて、義務としてやるのではなく、自ら必要だと理解して、自分のペースで、必要量を考えながら取り組むことが重要だなと、日々の生徒とのやり取りを通じて感じています。
今回、このビデオをみて、そのことを改めて感じたので、ご紹介させていただきました。
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